
賄賂問題で経済再生相の甘利明が辞任した。甘利氏は会見で、公設第一秘書のA氏が、I氏から受け取った現金300万円を私的流用していた事実などを認めた。さらに甘利氏自身も疑惑の渦中にいる。大臣室でとらやの羊羹と一緒に現金50万円を手渡されたほか、千葉県白井市にある建設会社「S」社から計100万円を受け取っていたからだ。
慶応大を卒業後、ソニーに勤めていた甘利氏は、衆院議員だった父・正氏(故人)の地盤である神奈川県大和市の事務所を引き継ぐ形で、1983年に初当選した。親から譲り受けた財産があるうえに、妻と長女は医師。「お金に困っていることはない」(地元支援者)というのが、周囲の一致した見方だ。神奈川県の政界関係者は言う。
「旧渡辺派に属した当時、甘利さんの兄貴分は、山口敏夫さん(元衆院議員)だった。彼に、『大物政治家になるためには、県庁所在地に自分の後援会をつくりなさい』とアドバイスされていたようです。若い時は、政治家は地元と永田町で名前を売ればいい。それが、当選回数が増えて後輩議員の政治資金パーティーで祝儀を出すなら、相当な金額を包まないといけない。カネがかかるんですよ」
たしかに、選挙区外の企業であるS社の陳情を受けた理由について甘利氏は、「千葉に『甘山会』の支部をつくるという話が持ち込まれたので」と会見で説明していた。