詩人、エッセイストの佐々木桂さんが、日本津々浦々に残る田園風景とその米を紹介する本誌連載「美し国、旨し米」。今回は、意外と知らない米の賞味期限について。
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全国各地の新米が出揃った今日この頃。どんなに大好きな新米でも、一気に買わないほうが良い。実は米というのは非常に保存が難しい穀物なのである。
「腐るわけじゃないし、米びつに入れて、唐辛子でも入れておけば何カ月も大丈夫でしょう」という人もいるかもしれないが、米はそもそも生鮮食品だと思ったほうがいい。腐りはしないが酸化する。だから普通の家庭なら、常温保存ではなく、冷蔵庫の野菜室が適所だ。また、米には無数の小さな穴があいていて臭いを吸収しやすいので、臭いの強いものの近くに置くのも厳禁。保存時はチャックのついたビニールパックや小さめのペットボトルなど、密封できる容器に入れたい。
そして買いだめしないこと。米の賞味期限は冬で2カ月、春は1カ月、暑い夏はもっと短い。1年通して「賞味期限は2週間」と言う人もいる。できるだけ新鮮な状態のお米を食したい。
※週刊朝日 2015年11月13日号