日本でもっともメジャーな棋士・羽生善治さん。わずか160人しかいないプロ棋士に15歳でなり、30年。昔と今では将棋界も変わってきたと、作家・林真理子さんとの対談で明かした。
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林:びっくりしたことに、羽生さんのご両親は、将棋をぜんぜんやられないそうですね。
羽生:父親は世代的にルールぐらいは知ってるんですが、アウトドア派なんです。たまたま友達が教えてくれて、住んでた町に道場があって、非常に幸運だったと思います。
林:将棋の神様に導かれたんでしょうね。友達が将棋をやってなかったら……。
羽生:棋士になっていないでしょうね。どうなってたんでしょうか(笑)。
林:でも、学校の成績はすごくよかったんでしょう?
羽生:いや、それもそんなことなくて、ほんとに真ん中ぐらいで。
林:将棋は頭のいい子を育てるというので、将棋をやらせる親御さん、多いみたいですね。パソコンゲームやってて頭がいい子って、あんまり聞きませんけど。
羽生:ああいうゲームってある程度パターンが決まってますが、将棋は何千回やっても同じのが出てきませんから。ただ、最近は棋士を目指しつつ、学業もやる人が増えてきましたね。例会というプロを目指す人の研修会があるんですが、前は平日だったので学校を休んで行ったんです。それが最近は親御さんからの要望があまりに多くて、土日祝日になったんです。
林:あらら、モンペ(モンスターペアレント)ですか。
羽生:モンペではないんですけど(笑)、私がいたころにそんなことを言ったら、「学校なんかやめてしまえ!」という世界でしたから、隔世の感がありますね。
林:親御さんにしたら、プロになれるかわからないし、ということなんでしょうね。
羽生:プロになっても一生安泰という世界ではないので、心配する気持ちもわかるんですが。
林:年間の獲得賞金と対局料が1億円を超したのは、羽生さんが初めてですか。