独身・既婚にかかわらず、60代になっても恋愛を楽しむ女性が最近は増えているようだ。不倫や離婚問題に詳しいフリーライターの亀山早苗さん(55)は言う。
「団塊の世代(現在の66~68歳)より上の世代は、恋愛に対して厳しい締め付けの中で育ってきた人が多いのですが、その下の“アラ還”(60歳前後)は違いますね」
36年前の不倫への怒りが再燃し、妻(71)が要介護の夫(当時79)を殴って死に至らしめた最近の事件を覚えているだろうか。亀山さんによれば、事件は「我慢するのが当たり前だった世代の女性が爆発した象徴的なケース」という。この妻は20歳で結婚、夫以外の男性を知らずに一途に生きてきた。
「でも、アラ還世代以降はこういう結果にはなりにくい。若いころから自由恋愛に抵抗がなく、未婚・既婚にかかわらず積極的です」
恋愛観の変化は特に女性に顕著という。
「『恋愛と結婚は別』と、サラリと言う女性が増えましたね。婚外恋愛でも、妻の7割が夫に悪いと思ってはいません。恋愛のスイッチを見つけてしまうのでしょう」(亀山さん)
戦後生まれの彼女たちは、「恋愛至上主義」を実践した最初の世代だ。戦前に一般的だったお見合い結婚の割合を、恋愛結婚が抜いたのは1960年代後半、ちょうど思春期のころ。彼女たちは学校や職場で知り合った男性と恋愛結婚した。
不倫ドラマの金字塔「金曜日の妻たちへ」シリーズ(83~85年)を、登場人物を自分と重ねて熱心に見たのもこの世代だ。恋愛はステキなものという素地がある。年齢を重ねても恋愛を人生の重要テーマに置くのは自然な流れだろう。
今年3月から5月まで放送された「プラチナエイジ」(フジテレビ系)は、そんな女性たちをターゲットにし、話題になった。