いまやバラエティー番組にも引っ張りだこの作曲家・新垣隆さん。「NHKスペシャル」(「魂の旋律~音を失った作曲家~」)で一躍有名になった作曲家・佐村河内守さんのゴーストライターだったことは記憶に新しい。番組当時から佐村河内さんの陰で作曲していた新垣さんだが、作家・林真理子さんとの対談で番組収録の当時を振り返った。
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林:新垣さんが会見をなさったあと本屋に行ったら、番組のディレクターが書いた本(『魂の旋律 佐村河内守』)が売れ残っていて、買って読んじゃいましたよ。
新垣:それはきっと味わい深いものが……(笑)。自分は読んでいませんが、何となく想像はつきます。
林:「彼の苦悩」「魂が揺さぶられる」とか。あのディレクターの人、恥ずかしいでしょうね。
新垣:あのディレクターさんには、佐村河内さんを取り上げる番組で一度だけお会いしたことがあるんです。自分はスタジオミュージシャンとして自己紹介したんですが、悪いことしたなと思ってます。
林:「Nスペ」は佐村河内さんが譜面を書くところを撮りたいけど、もちろん彼は絶対に撮らせない。そして、おつうが「見ないでね」と言って部屋にこもって、織り上がった反物を持って出てくるように……。
新垣:やつれた顔で出てきて、「できました」って(笑)。