
ライバルの存在は人を大きく成長させる。学校同士の場合も同じだ。相手の存在が刺激になり、励みになる。そんな象徴といえるのが、群馬県にある2つの高校だ。
朝礼台の上で実行委員長が抱き合って健闘をたたえ合い、勝ったほうも負けたほうも男泣きする。これは、群馬県の名門県立高校、前橋と高崎のスポーツ交流「定期戦」のフィナーレでの光景だ。
「お互いに全力を尽くしたから、見ていてすがすがしいですね。勉強もスポーツも高め合う、よきライバルです。男子校ですから、高崎の生徒を『山猿』と呼んでヤジを飛ばし、うちの生徒は体育着がクリーム色だからか『白豚』と呼ばれる。昨年は惜しくも4点差で負けました」
と語るのは、前橋の竹澤敦教頭だ。
一方、高崎の森泉孝行教頭も、「敵対関係ではなく、切磋琢磨(せっさたくま)できるいい関係です」と言い切る。
「私たちは『高前(たかまえ)定期戦』と呼び、前橋高校側では『前高(まえたか)定期戦』と呼び、とても盛り上がる行事です。毎年、開催校がかわり、昨年はうちで行いました。『ホームだから負けられない!』と、昼休みも玉入れなどの練習をしていました。大人になってからも、『定期戦は2勝1敗だった』などと話し、前橋は意識してしまう存在です」(森泉教頭)
1949年に始まった定期戦は昨秋で68回目。全校生徒が参加する冒頭の「一般対抗」は駅伝、綱引き、長縄跳び、ソフトボールなど11種目、部対抗はラグビー、サッカー、硬式野球、テニスなど14種目で競う。