安定した高視聴率を叩き出しているNHK朝の連ドラ「ごちそうさん」。これまであまり描かれてこなかった「専業主婦」をヒロインとし、展開は浮気・子育て・嫁いびりなどベタな王道ネタばかり。どうして人気なのだろうか?
テレビ番組のコラムを手がけるライター吉田潮さんも、安定した人気の理由を「女性の『大好物』がてんこ盛り」と見る。
「放送開始時は少女マンガのような『ドジっ娘の大正ロマン恋物語』だったが、結婚後は舞台を関西に移して、嫁対小姑の『泥沼の女バトル』へ。おいしそうな料理はもちろん参考になるし、東出昌大や和田正人といった“イケメンウオッチング”もできます」
それで思い出すのは、義姉の和枝による強烈な「嫁いびり」だ。ホームドラマの王道だが、和枝が歯切れ良く、ピシャリと釘を刺す物言いが大きな話題を呼んだ。こんな台詞がある。
「その家の台所を継ぐいうことは、その家の味を継ぐいうことです。自分の家の味を作って腕自慢でっか。ふてぶてしいにもほどがある」
番組チーフ・プロデューサーの岡本幸江さんによると、これはイジメではなく、至らなさを正すためで陥れてはいない。そして、め以子もめげずに小姑に言い返す。
「生き方や価値観の違う女性同士がぶつかれば対立する。でも和枝は和枝で筋が通っているし、別の家族と一緒に暮らすことになったら歩み寄りや議論は不可欠でしょう」(岡本さん)
「女性と仕事」を中心に研究している昭和女子大特命教授の福沢恵子さんは、こう分析する。
「今は堂々と嫁いびりができる状況になく、デリカシーを欠く嫁の態度や発言に姑や小姑は腹を立てても口をつぐんでいる。嫌みを言われた嫁も適当にやり過ごす。でも、劇中では嫁・小姑バトルがあえて大げさに描かれ、両者に言いたいことを言わせているせいか、視聴者は『あるある』『よくぞ言った!』と溜飲を下げるのではないでしょうか」※週刊朝日 2014年2月21日号