秋から冬にかけて皮膚の乾燥やかゆみを訴える人が増える。
この時期のかゆみは、乾燥による「皮脂欠乏症」か、寒暖差やストレスなどによる体調不良で生じる「蕁麻疹(じんましん)」の可能性が高い。女性では更年期以降で皮膚が乾燥しやすく、高齢者は「皮膚瘙痒(そうよう)症」に要注意、ということになる。
「それぞれ治療やセルフケアが異なるので、医療機関でまずは診断してもらってください。間違った方法を続けても、症状は改善できませんし、悪化することさえあります」(川端皮膚科クリニック院長の川端康浩医師)
その治療やセルフケアについて、みていこう。
皮脂欠乏症は、保湿剤を塗る治療やスキンケアが重要だ。軽いかゆみであれば、保湿だけで十分に治まる。強いかゆみがある場合は、抗ヒスタミン薬の内服やステロイド薬の塗り薬による治療で、まずはそのかゆみを取ることが最優先となる。そうしないと、掻けば掻くほどかゆみは強まり、悪循環に陥る危険性がある。
蕁麻疹は、乾燥対策のスキンケアでかゆみを止めることは難しく、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬の服用による治療が中心となる。
皮膚瘙痒症では、一度伸びた知覚神経を元に戻す根本的な治療はないが、乾燥を伴っていれば保湿を目的とした治療やスキンケアをしたほうがいい。皮膚のバリア機能を戻し、刺激が入ってくるのを防ぐことで、かゆみを抑えられるからだ。
更年期に起こる皮膚症状は、不足したエストロゲンを補うHRT(ホルモン補充療法)が有効だ。
このほか、皮脂欠乏症と皮膚瘙痒症、更年期の皮膚症状は、漢方で治療するという手もあるという。
「皮膚の乾燥は、皮膚に栄養や酸素を送る『血(けつ)の不足』が原因と考えられるため、当帰飲子(とうきいんし)や四物湯(しもつとう)、温経湯(うんけいとう)など、血を補う『補血剤』というタイプの漢方薬を用います」(成城松村クリニック院長の松村圭子医師)
※週刊朝日 2013年12月20日号