泉田裕彦さん(右)と室井佑月さん(左) (撮影/写真部・東川哲也)
泉田裕彦さん(右)と室井佑月さん(左) (撮影/写真部・東川哲也)
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 原発問題の最前線で戦う泉田裕彦・新潟県知事と、作家の室井佑月氏が対談した。泉田氏は原発問題の処理が終わらないまま決定した五輪開催や、海外から日本に向けられる視線について次のように話す。

*  *  *

室井:ところで、原発の事故処理が終わらないのに東京でオリンピックをすることは、どう思いますか。

泉田:私は決まって良かったと思っています。汚染水問題について言うと、今まで国民に情報を小出しにして逃げ切ろうという感じがあった。これからは世界の監視が集まって、五輪までに安定させないと日本の信用にかかわる事態になった。国内問題から、国際問題になったわけですから。

室井:世界に対しては、隠蔽(いんぺい)はできないですか。

泉田:会見などで感じるのですが、海外の記者のほうがはるかに的確ですよ。日本はアメリカとの原子力協定があるから、国民には出さない一部の情報をアメリカには出していて、そこから世界中に情報が回っている。日本では国民に真実が知らされない独裁国家のことを「かわいそう」と言っていますが、今、世界から「かわいそう」と思われているのは日本人なんです。民主主義の熟度が試されていると思いますよ。

室井:メディアの役割は大事ですね。権力の監視ですもんね。

週刊朝日 2013年12月20日号