このところ、「大人のラジオ体操」が中高年を中心に熱く支持されているという。それを裏づけるように、ここ2年あまりで出版された解説本は10冊以上。ブームの火付け役とも言えるスポーツドクターの中村格子(かくこ)さん(国立スポーツ科学センターメディカルセンター研究員)のDVD付き書籍は、シリーズ通算で70万部を売り上げた。
ラジオ体操というと、思い浮かべるのは、夏休みの早朝に子どもたちが公園などで行ったり、高齢者の愛好者が行ったりする光景だ。それがなぜ今、「大人のラジオ体操」がブームなのか。中村さんは言う。
「ラジオ体操は、いつでも、どこでも、だれでもでき、健康維持効果も高く、美容体操としての要素も含まれている。とてもよく計算された体操です。それに、意識してやると汗ばむくらいハード。そんな意外性が魅力として再認識されたのではないでしょうか」
子どもではなく、大人がやるということの意味について、ラジオ体操の普及に取り組む全国ラジオ体操連盟の副理事長、青山敏彦さんもこう分析する。
「ラジオ体操は簡単な動きの連続ですが、400以上の筋肉が活性化する。習慣にすることで、筋力がついたり、血流が良くなったり、代謝が上がったりするということが期待できる。疾病予防、介護予防にぴったりな体操です」
また、ラジオ体操のなかには、姿勢がよくなる動きがふんだんに取り入れられている。年を取ると背骨がゆがみ前に曲がってきてしまいがちだ。健康で長生きするには、背骨をあるべき姿に保つことが大切。姿勢重視のラジオ体操は、実は、中高年の健康維持にもってこいなのだ。
ただ、いいことずくめに思えるラジオ体操だが、やはり自己流だと効果は半減してしまう。全国ラジオ体操連盟は、「正しいラジオ体操」を提唱し、8年前からラジオ体操指導士という資格を設けた。中村さんも2級の資格を持つ。
「皆さんが考えているラジオ体操と、きちんとしたやり方でやるラジオ体操は、かなり違うと思います。指導士のもとで、一度、正しい方法を教わるのがいいでしょう」(青山さん)
以下は中村さんの考える「効果を高める7つのポイント」だ。ぜひ参考に。
・他人と張り合わない
・自分の体調や体力に合わせ、痛みがある人は無理しない
・通院中は主治医やリハビリの医師などに相談を
・できれば毎日、同じ時間帯にやる(※寝る前は避ける)
・どの部位に効いているのか意識しながら動かす
・テキパキとテンポよく体を動かす
・動きに左右差はないか、前日と違わないか自己チェックする
※週刊朝日 2013年10月18日号