国土交通省によれば、住宅市場の好不調を示す「新設住宅着工戸数」が右肩上がりに増えている。7月は8万4千戸を超え、今年の最高記録を更新した。来年4月に予定されている消費増税に備え、「駆け込み需要」が高まっているようだ。しかし、こうした建設ラッシュに伴い、トラブルが増加するのではないかと懸念する声が上がっている。

 国民生活センター、建築Gメンの会、建築士と弁護士などで組織する「欠陥住宅全国ネット」には、驚きのトラブルが報告されている。

 新築の2階建て住宅で、入居後わずか1カ月で起こったケースだ。1階にある浴室の排水管がきちんとつながっていなかったため、水漏れが発生した。なんと、床下を12センチも冠水させてしまったのだ。専門家が追加で調査したところ、ほかの箇所にも多くの欠陥が見つかった。建設会社は、「手抜き工事」を認めて、全面的に無償補修工事をしたという。

 地下室が浸水した例もある。入り口から屋内に雨水が流れ込んでしまった。構造上、雨水の排水ができない状態だったという。「設計ミス」とされても、やむを得ないケースだろう。

 次に、マンションの事例をみる。マンションでは、「基礎」「屋根」は共有部分で欠陥が見つかりにくいことなどから、「外壁」の相談が多いようだ。例えば、関東地方にあるマンションでは、こんなトラブルがあった。東日本大震災で震度5強に見舞われた場所に建っている。このマンションは地震後、外壁のひび割れが見つかり、コンクリートのかけらが公道に落下するようになってしまった。

 建築士の調査によると、建築基準法に基づいて建築主が提出する「建築確認申請」には、工場で造られたコンクリートパネルを使うことになっていた。だが、実際には、現場の作業員が勝手にその場で流し込むコンクリートに変えたため、強度が下がったことが原因だとみられる。

週刊朝日  2013年9月13日号