昨年まで本誌の月例コンテストの審査をしてきましたが、作品に合成や過度なレタッチがあっても表現意図として必然性があれば、まったく何をやってもかまわないと思います。
合成した写真を「合成なし」と表記するのはダメですが、合成していないものも、合成したものも同じ土俵で競い合うことで、結果的に力のあるものが評価される、それでいいと思いますね。
まっこう勝負で、ストレートな写真が負けたとしたら、それだけの写真だった、ということですよ。
ストレートな写真で合成写真を圧倒すればいいんですよ。それができなくて、なんやかんや言うのは情けないことです。
ストレートな写真がエライかというと、そうではないと。
自分は合成していないから、合成はけしからん、なんて言うのはおかしいですよ。型みたいなものに縛られては表現者としてだめですよ。合成をしたいのであればすればいい。それを他人が「ずるい」と言うのは間違っています。
変に「写真道」というか、清くなければいかん、みたいな考え方は、古い、新しい、というより、本質的じゃない気がしますね。(聞き手・構成/アサヒカメラ編集部・米倉昭仁)
※『アサヒカメラ』2020年3月号より抜粋。本誌では中藤さんのインタビュー全文と他作品も掲載している。