これらのことがあって、写真という言葉が曲解されてしまった。間違えて認識されてしまったのですね。それが今にいたっている、というふうに思います。
よくフォトコンテストで合成はダメだとか、合成したら写真じゃないみたいに思っている人がいますが、写真の意味を変に認識、誤解してしまったことの後遺症なのですね。
<掲載写真の解説>
「夏の思い出」(ふるさとの四季・萩市三角州から)。
幅6メートル、高さ2.2メートルに引き伸ばして展示したフォトモンタージュの作品です。何回も夏を待って5年がかりで撮影しました。
まず、美しい夕焼けの日に縦位置で、カメラをパンしながら5カットほど写しました。一つのカットは露出を変えて3枚撮った、いわゆるHDR(ハイダイナミックレンジ)なので、計15枚の画像を合成して大きなパノラマ写真をベースとしました。
花火は気に入るまで何回も撮って、重ね合わせました。花火を撮った日は萩の夏祭りです。漁は休みなので、いさり火は別の日に撮影しています。
列車はブレて光の線にならないように感度を上げて、シャッター速度を上げて写しています。大きくしたらわかりますが、お盆の行事でうちの子どもたちがちょうちんを持っているところも写っています。
萩城の跡は現在石垣だけですが、写真で復元しています。というふうに細部にもいくつか仕掛けがしてあります。(聞き手・構成/アサヒカメラ編集部・米倉昭仁)
※『アサヒカメラ』2020年3月号より抜粋。本誌では下瀬信雄さんのインタビュー全文と別作品も掲載している。