うつ病を克服し、偏差値29から東大に合格。ベストセラー『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』の著者・杉山奈津子さんが、今や5歳児母。日々子育てに奮闘する中で見えてきた“なっちゃん流教育論”をお届けします。
この連載が本になりました。タイトルは『東大ママのラク&サボでも「できる子」になる育児法』です。杉山さん自身が心理カウンセラーとして学んできた学術的根拠も交えつつ語る「私の育児論」を、ぜひご覧ください。
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「日本人は英語が下手で話せないので、グローバル化が遅れてしまう」という懸念により、2020年度の大学入学共通テストから、「一部の英語の試験を民間企業に託す」という案が出ていました。それが今年になり、まだまだ問題点が多いため延期することが発表され、24年度からの実施を目指す、という方針に変わりました。
個人的には、「問題点があっても強行突破するのかな」と思っていたので、延期という対応がとられたことに、少しビックリしました。同時に、こう思いました。「もう、民間試験の導入が実施されることはないだろう」、と。
■懸念は二つ「情報漏洩」と「金銭的格差」
延期をした理由について、文部科学相は「文科省と実施団体の連携が十分ではなく準備が遅れた」とあいまいなことを言っていましたが、具体的に示すと、「二つの大きな問題点が存在するため」です。
一つは、試験の作成・採点が「民間」企業であるため、外部に情報が漏れてしまう可能性がある、という点。もう一つは、住んでいる場所や、家庭の金銭的格差により、民間試験を受けられる回数に明確な差が出てしまう点です。
今まで、独立行政法人大学入試センターは、国語に使われる文章の筆者にさえ、試験の後に「使ったよ」と報告するほど、徹底的な秘密主義を貫いていました。しかし民間企業が加わると、そうはいきません。民間企業には、正社員や派遣、アルバイトがいるなかで、試験に関わる人たち全員に、「試験の内容を絶対に外部に漏らさせないようにする」ことが可能だと断言できるでしょうか。