0対0の2回、中日は2死一、二塁のチャンスに、大島洋平の打球は一、二塁間へのゴロ。だが、打球が二塁に向かって全力疾走していた一塁走者・木下拓哉の左足に当たったため、木下拓は守備妨害でアウト、大島には安打が記録された。
そして、この“痛いアクシデント”が回り回って、大島にシーズン最多安打の初タイトルをもたらすのだから、世の中何が幸いするかわからない。
最終的に174安打を記録した大島は、2位・坂本勇人(巨人)にわずか1差。もし木下拓に当たっていなければ、二ゴロの可能性が強かっただけに、この1本は本当に大きかった。
大島は「(安打のヒットと言うより)木下に当たったヒット(命中)ですね。ヒットになってくれたので、木下のお陰です」と感謝しきりだった。(文・久保田龍雄)
●プロフィール
久保田龍雄
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2019」(野球文明叢書)。