うつ病を克服し、偏差値29から東大に合格。ベストセラー『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』の著者・杉山奈津子さんが、今や5歳児母。日々子育てに奮闘する中で見えてきた“なっちゃん流教育論”をお届けします。
この連載が本になりました。タイトルは『東大ママのラク&サボでも「できる子」になる育児法』です。杉山さん自身が心理カウンセラーとして学んできた学術的根拠も交えつつ語る「私の育児論」を、ぜひご覧ください。
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「小さいうちから思考力を鍛えよう」という言葉をよく聞きます。脳は子どものときに著しい成長を遂げるので、その時期に脳の神経回路を発達させて才能を伸ばそう、というわけです。
そこで、お母さんたちが子どもに英語を習わせたり、塾で何年か先どりした勉強をさせたりしているのをみかけますが、果たしてそれで脳は鍛えられるものでしょうか?
■脳を成長させるには、覚えた知識を繋げて「考える」ことが大切
小さい頃に習う英語は、文法ではなく単語を覚えるだけであって、それは単に「暗記」しているだけです。つけ加えれば、幼少期にいくら難しい英単語を覚えたって、何度も復習したり頻繁に使ったりしなければ、長期記憶に残ることなく忘れてしまうものです。
それに、小学1年生のときに2年生で習う漢字を先どりして覚えたら、優秀なように見えますが、やはりそれも理解ではなく知識の暗記にすぎません。
本当に脳を成長させるには、覚えた知識をつなげて「考える」ことで、神経回路を活性化させる必要があります。つまり、A、B、Cに当たる言葉を覚えたうえで、「今はAという状態なので、Bをすると、Cになるのではないか?」と、つなげていく作業です。そのためには、まず多くの日本語をしっかり教えることが重要ではないかと思います。
「思考」という行為には、「言葉」が必要不可欠です。たとえば、かつて日本にはアイデンティティーに当てはまる日本語がなく、非常に曖昧な概念でしかありませんでした。しかし、アイデンティティーが片仮名語として取り込まれ広まったことで、みんながアイデンティティーについてはっきりと意識することが可能となり、それについて考えることができるようになりました。