■きちんと伝えるために、「ヤバい」を使ったら罰ゲーム
まず、お互い「ヤバい」という言葉をできるだけ避け、もし使ったら罰ゲーム、と約束しています。ヤバいは、あまりにたくさんの状態をカバーできすぎてしまうため、表現の幅を狭めてしまい、必然的に語彙が少なくなります。息子が「このオモチャはヤバい」と言ってきても、実際のところ私は何の情報も得られませんし、本人も「なにがどうヤバいのか」なんて深くまで考えてはいないでしょう。
それでは、何かを伝えた気になっているだけで、全く状態に向き合えていません。同様に、「ああいうのは楽しそうだね」「そういうのってよくないことだよね」という曖昧な指示語もなるべく控えて、きちんと単語で表すようにしています。
そして、質問をするときに、はい、いいえで答えられる「クローズドクエスチョン」ではなく、きちんと言葉を用いて答えなくてはならない「オープンクエスチョン」をするように心がけています。「今日、幼稚園は楽しかった?」と聞いても、「うん」で終わってしまいます。「今日は幼稚園でどんなことをしたの?」と聞けば、自分の持っている言葉で説明しなくてはいけません。また、なぜそういう行動をしたのか、どうやればいいのか、というように、「なぜ?」「どうやって?」という質問をすることで、子どもは懸命に答えようと考えてくれます。
YouTubeやテレビに関しては、あまり子どもに見させないようにと気をつけている親もいます。しかし息子をみていると、その中から「リラックス効果」や「マンツーマン」というような、幼稚園児が生活の中であまり使わないような単語をたくさん覚えている様子なので、言葉を覚えるツールと思えば、積極的に活用していいものだと思っています。
日常の中で子どもが日本語を覚える機会を意識的に増やすことはできます。自分が使える言葉を増やし、その中から感情や状態を表現するのに最も適切な言葉を選ばせて、「どうして?」「どうやって?」という理由や方法を話させてあげましょう。あえて「勉強」というかたちをとらなくても、それだけで、「子どもの思考力を鍛える」ことができるのではないでしょうか。