求める人材は多様であるようにと心がけています。仕事はいろいろあるので同質化したくない。ジョブ型に寄せていきたいという思いはありますが、2年後の状態が見えないので、そこに振り切ることはできません。技術的なスキルは後から身に付けられるのです。たとえばプログラムは40時間集中すれば身につきます。むしろ、その集中力や情熱、意欲が大切。技術はどんどん変わっていきますからね。

 通年化して最もよかったと思うのは、前述した国際学会の発表などに集中した学生にじっくりと会えること。既存の一括採用ではこうした優秀な人材をすくい取ることができないこともあった。そうした人材をグローバル企業はもっと柔軟に受け入れています。

 若い人たちがヤフーで学んだ後に外で活躍し、またヤフーの重要なポジションに戻ってくるとか、そんな風通しのいい社風を意識しています。学生にも一生ヤフーで働いてもらおうとは思っていないと明言しています。実際に当社は出戻り社員がすごく多い。役員になっている人も複数います。他社からヘッドハンティングされた社員を強引に引き留めることもしません。むしろ背中を押すくらい(笑)。

 今後は中途採用の「キャリア採用」と新卒の「ポテンシャル採用」を統合する野望を持っています。学生一人ひとりの年収を考えられるようになりたい。そうなれば、グローバルの採用市場でも勝ち抜けると思うのです(談)。

【東京海上日動火災保険】
採用機会の増加は人材の多様化に。ただし、ノールールでは逆効果

「東京海上日動火災保険」人事企画部人材開発室課長・採用チームリーダー 渡部善哉さん

 通年採用の定義はまだはっきりしていませんが、卒業前だけではなく、卒業後の新卒者の採用チャンスは必要だろうとは考えています。卒業後に長期留学するなど、さまざまなことを経験してから就職するというパターンを想定しています。採用人材の多様化につながるので、前向きに考えていきたいと思っています。すでに当社では既卒者でも新卒と同様の採用をしています。

 けれども、その場合でも年がら年中というのでなく、ルールを決めておく必要があります。学生さんが落ち着いて勉強できないだけでなく、採用側にとっても相当な負担になってしまう。つまり、ノールールの無秩序になることを最も危惧しているのです。

 現在の新卒採用は、6月から実施しています。勤務地を問わないグローバルコースと、全国各地で募集するエリアコースの2種類で、前者は約200人、後者は合計約380人です。

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社会変化に対応できる汎用性も必要