ときに、雁屋哲原作の『美味しんぼ』ではやたらニッカウイスキーの評価が高く、サントリーの評価が(不当に)低くて不思議だ。ぼくはウイスキーはあまり飲まないけれど、たまに飲むと、ニッカもサントリーもとても美味しいとは思う。
そういえば、「美味しんぼ」ではドライビールもけちょんけちょんにけなされていて、良くも悪くも作者の好みが強烈に反映されている。ドライビールも美味しいんですけどね。
ラム酒は糖蜜を原料とした、ウォッカは穀物を原料とした蒸留酒だ。中国の白酒も穀物原料の蒸留酒だ。リュウゼツランは多肉植物だ。アメリカ大陸にあり、中に多くの糖が入った樹液が入っている。
テキーラの原料として有名だ(厳密にはメキシコのテキーラ地域で造ったアオノリュウゼツランが原料なのがテキーラ。そうでない場合はメスカルという別名の酒になる)。
リュウゼツランの樹液にはブドウ糖、果糖、ショ糖などいろいろな糖が含まれている。しかし、テキーラはこれを発酵させたものではない。食物繊維のイヌリンという炭水化物が葉っぱに入っており、葉っぱを切り落としてできたピニャという部分を加熱すると、イヌリンが分解されて果糖になる。これを発酵、蒸留させたのがテキーラだ。
つまり、テキーラは日本酒や焼酎同様、炭水化物を糖化してから酵母によるアルコール発酵を行なうのだが、A. orizaeのような糖化を担当する微生物を介していない、ということだ。実に面白い(面白くないですか?)。