住宅費に教育費、健康不安に親の介護……人生100年時代のいま、定年後からの日々は長い。余生を明るい未来にするために『定年後からのお金と住まい2019』では、弘兼憲史氏と石毛宏典氏の対談が実現。御二人の言葉から見えてきた、必要ものとは。
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弘兼:石毛さんは今年で63 歳、おなかが出ていないですね。
石毛:体質だと思いますが、うちの家系は太らないですね。
弘兼:僕は水を飲んでも太る。気をつけておられるんですか?
石毛:特に気にしてはいませんね。焼き肉、好きですし。
弘兼:私は漫画家なので、定年はほとんど考えませんが、同期の連中は皆定年で。会社の役員とか社長だった友人も70 歳を超えていますし。それまでゴルフとか誘ったら集まったのに、定年になって収入がなくなったら生活が地味になる。あと仕事一本できた人に限って、仕事がなくなるとまるでつっかえ棒をパッと外されたみたいにパタッと倒れそうになる。気が張っているのがなくなるんでしょうね。だから仕事は続けなければいけないなと感じますね。
■忘れ物が多くなり、距離感もつかめなくなる
石毛:人生100年時代、健康寿命も考えなきゃいけませんし。
弘兼:同期で集まると、僕が一番若く見えるんです。仕事をしていないと老けちゃうんでしょうか。仕事は頭も使うから物忘れもそんなにないし、と言いながら今日、携帯電話を忘れて、取りに帰りました。(笑い)
石毛:忘れ物は多いですね。体もいたるところにぶつけたり。
弘兼:距離感がつかめなくなる。家の中で健康器具につまずいて骨折したことがありますよ。それからは、家の中でスリッパを履くようにしています。
石毛:僕は骨折はないんです。プロ野球選手の時代も、大きなけがはない。ひじや肩を壊したりもなかったなあ。靭じん帯たいを伸ばしたぐらいでしょうか。
弘兼:元来、丈夫にできている。
石毛:田舎でしたから。実家が農家で周囲も田んぼ。野良仕事をしたりあぜ道を歩いたり、草むらに足を取られて転ぶとかね。
弘兼:肥だめに、足がはまったりするんですよ。あれは臭い。友人と肥だめの中に石とか投げて、ポンッと跳ね返って「うわーっ」と逃げたり。ひどいことをしていましたね。(笑い)