「新しい時代が始まる前から、なんて暗い話ばかりしてるんだ」と言われるかもしれないが、こうした心配は私だけがしている訳ではない。
最近来日して大きな注目を浴びた投資の神様、ジム・ロジャーズ氏の言葉を紹介したい。彼は、米名門のイエール大と英オックスフォード大で歴史学を学んだあと、これまた今は投資の神様と呼ばれているジョージ・ソロス氏と設立したファンドで、10年で投資収益4200%という実績を挙げた。リーマン・ショックやトランプ大統領当選などの予言が的中したことでも有名だ。
同氏の訪日で、最も多くの報道に引用されたのは、「私がもし10歳の日本人なら、ただちに日本を去るだろう」という言葉だ。彼は今日の日本を高く評価しながらも、将来については極めて断定的に悲観論を述べる。「その日本が50年後か100年後には消えてしまうのは心から残念でならない」というほどだ。そして、「当然だ。これだけ借金があり、しかも子どもを作らないのだから。私はこれだけ日本を愛しているが、日本に住もうとは思わない。借金と少子化、この二つがシンプルな理由だ」と解説する(PHP新書『お金の流れで読む日本と世界の未来』)。
実は、彼のこの言葉には、もう少し長いバージョンがある。それは、「もし私が10歳の日本人ならば、自分自身にAK-47(自動小銃)を購入するか、もしくは、この国を去ることを選ぶだろう」(2017年11月の米投資情報ラジオ番組「スタンスベリー・インベスター・アワー」での発言。前掲書より)というものだ。「2050年には日本は犯罪大国になる」からだという。
もちろん、アベノミクス信奉者は、安倍総理が日本を救ってくれると思っているかもしれないが、そのアベノミクスについても、彼は、こう断罪する。「アベノミクスが成功することはない。安倍政権の政策は日本も日本の子どもたちの将来も滅茶苦茶にするものだ。いつかきっと『安倍が日本をダメにした』と振り返る日が来るだろう。」