5年ぶりのV奪回へ大型補強した巨人だが、試合に先発出場できるのは9人のみだ。ポジションによっては補強した選手のあおりを食う若手も少なくない。他球団の編成担当は潜在能力を高く評価する意外な伏兵の名前を挙げた。
「重信慎之介を使わないならウチに欲しいですね。丸佳浩がFAで加入して中堅の一枠が確定すると、代走や守備固めで起用される機会が増えるかもしれないがもったいない。彼はスタメンで起用した方が力を発揮できる選手。使い続ければ球界を代表するリードオフマンになれる可能性を秘めています」。
重信は今季がプロ4年目。昨年は大きな手応えをつかむシーズンになった。61試合出場でいずれも自己最高の打率・281、2本塁打。非力な打撃が課題だったが、早大で先輩のヤクルト・青木宣親を参考に腰をどっしり落とした打撃フォームに改造すると、打球に力強さが増して飛距離も伸びた。俊足も生かし、5本の三塁打はチームトップ。長打率も419と前年の214から倍近くの数字に跳ね上がった。坂本勇人が負傷離脱した8月は「1番・中堅」で打線を引っ張るなど奮闘した。
だが、今年は高い壁が立ちはだかる。広島から17、18年とセリーグ2年連続MVPの丸佳浩が加入。主軸として中堅に固定される公算が高く、重信は左翼、右翼で定位置を狙う。長野久義が丸の人的補償で広島に移籍したが、陽岱鋼(ようだいかん)、ゲレーロ、亀井義行と外野の層は厚い。チームの構想次第では、試合途中に代走、守備固めの役割を求められる可能性も十分あるが、前出の他球団の編成担当はその適性に疑問符をつける。
「重信はどちらかといえば不器用なタイプだと思います。足は速いが走塁技術はまだまだだし、守備も落下地点に入るのが遅い。途中出場は一つのミスが致命傷になるのでどうかな、と思う。いわゆるポカがある選手ですが、その欠点を補って余りある魅力があります。身体能力は抜群だし、ダイヤの原石だと思う」