「和牛」は13年からABCテレビ「おはよう朝日です」のレギュラーになった。同番組には僕も12年から出演しているため、全国区の人気者になっていくさまを近くで見てきたが、売れるには腕だけではなく、人間性も必要ということを2人の姿から学んできた。
今ではすっかり忙しくなって、なかなか大阪でゆっくりと食事をすることもなくなってしまったが、かつては僕が行きつけにしている極めて大衆的な街の中華料理屋さんなどで食事に誘い、庶民的な餃子や春巻きをアテに酒を飲んだ。
ただ、2人を、とりわけ元料理人の水田を食事に誘うのは、何ともプレッシャーを感じる部分もあった。
実際、番組に入る前に、「和牛」の先輩にあたるたむらけんじの自宅で水田がふるまう料理のフルコースを食べさせてもらったが、ブリ大根のような煮物からパスタに至るまで何を食べても抜群に美味しかった。
料理の腕前を知っているだけに、どこか気が引けるというか「美味しいと思ってくれているのかな」と心配したりもしていたが、実にナチュラルに、大げさすぎず、僕や一緒に食事をしている番組スタッフ全員を和やかにするようなトーンで、運ばれてきた春巻きを「ホンマに美味しいです!」とパクパク口に運んでいた。細かいところかもしれないが、そこの空気の作り方、出し方。そういったところに人間としての厚みや奥行きが出るものだと強く思った。
そういった流れもあり、僕の誕生日には「日ごろのお礼です」と2人そろってプレゼントを持ってきてくれた。そのチョイスが、こちらの心のど真ん中を射抜くありがたいプレゼントばかりだった。ある年は、僕がジムに通っているということで、その時に使えるような桐の箱に入った高級タオル。またある年は、こちらが仕事でスーツを着ることが増えたことを踏まえて高級ブランドの革ベルトをくれた。実用的かつ、こちらが本当にうれしいプレゼントを選ぶ。一事が万事。このセンスが繊細極まりないネタ作りにもつながっているのかと勝手ながら思ったりもしていた。