11位神奈川大は優勝2回(1997、1998年)、3位1回、5位2回。通算では9年連続50回目の出場だ。現在の大後栄治監督は1998年に就任、科学的トレーニング法には定評がある。2017年の全日本では20年ぶりの優勝を果たし、今回の箱根もダークホース的な存在だ。地元を走ることもあり、沿道からの応援も多い。1997年優勝時の往路5区を走った近藤重勝選手は現在、上武大監督をつとめており、同大学に11年連続11回目の出場をもたらした。

 12位青山学院大は優勝4回(2015~2018年)。順位は意外に低いが、無理もない。2009年、33年ぶりに出場したときは22位だった。もっとも長いブランクである。2010年に8位となって41年ぶりにシード権を得て、平成後期の常勝チームとなった。政治家転身を噂されるなど、すっかり有名になった原晋監督。毎年、スローガンを掲げて選手を鼓舞する。「ワクワク大作戦」(2015年)、「ハッピー大作戦」(2016年)、「サンキュー大作戦」(2017年)、「ハーモニー大作戦」(2018年)。今回の2019年は「ゴーゴー大作戦」と名づけた。

 今年の箱根駅伝はどんなドラマが待っているだろうか。青山学院大のような絶対的王者の強豪校でも、いつ、どこで、何が起こるかわからない。一人でも脱水症状を起こすなどしてペースダウンすれば、順位を大きく下げてしまう。それゆえ、出場する選手すべてが大会当日、最高のコンディションで臨めることが条件になる。優勝を狙える大学は、選手が入れ替わっても強さを発揮する。指導方法、育成システム、有望な選手を集めるスカウト、駅伝部の雰囲気などにも注目すると、箱根駅伝の楽しみ方がまた一つ増えることだろう。

(文/教育ジャーナリスト・小林哲夫

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