初恋の男性との再会を期待していた山口さん。このエピソードが面白くて、再現ドラマに採用されることになるのだが、もちろんここで話は終わらない。
「その同窓会に彼がいたんです。そういえば、こんな男の子いたな、っていうくらいの印象だったんですけど、なんだか高校生の頃より、素敵になっていて。でも彼は私のことはまったく覚えがないって(苦笑)」
■老後資金の不安は個人年金で備えて
山口さんは、お父さんを38歳のときに亡くし、それからずっとお母さんと2人暮らし。
「短大を出て、商社に5年勤めた後、ヤマハの音楽講師をしました。母と2人暮らしが長かったし、仕事もしていましたから、結婚しようと思ったことはありませんでした」
とはいえ、お父さんが亡くなり、老後資金の不安がよぎったという。
会社勤めは5年。その後国民年金だけの山口さんは、65歳から自分一人くらいは生活ができる程度の個人年金に加入する。
「老後資金の心配は多少なくなりましたが、母がリウマチを患ったりして体が弱かったので、私だけ夜外食したり、飲みに行ったり、外泊などはできません。帰宅のバスが1本遅れても母は心配するので。もちろん旅行は論外。母と2人暮らしになってからは旅行と呼べるものはほとんどしたことがありません」
そんな生活のなか、初めて参加した同窓会。夜遅くは帰れないので、その日も1次会だけ参加して帰宅。ひと時の楽しい時間だった。
■2人暮らしの母が倒れて皮肉にも出来た時間
「同窓会から3カ月ほどして、母がくも膜下出血で倒れたんです。病院、施設、特養(特別養護老人ホーム)と移って。母の病気は本当につらく、悲しいことでした。でもそれに伴って、母が自宅にいないことで、私はいつでも外出できるようになり、時間が自由になりました」
そう話す山口さんだが、お母さんが倒れてから亡くなるまで10年間、面会を1日も欠かしたことがない。
「“一卵性親子”って言うんですかね? とにかく母とは仲がよかったです。母も私を頼りにしていたし、私も母が大好きでしたから」