野手で光ったのは福井の内野手・松本友と、同じく福井の捕手・片山雄哉。松本は福岡・東福岡高時代に楽天の投手で2012年ドラフト1位入団の左腕・森雄大と同期。明治学院大を経て入団2年目の23歳は「大学卒業から2年と決めてやってきた。今年、NPBに行けなかったら、野球は最後」という決意の1年を過ごし、阪神・鳥谷敬をほうふつとさせるシュアなバッティングで今季打率.326、20盗塁をマークし、この日も1安打1盗塁した上に守備範囲の広さも見せつけた。また片山も7回2死二塁の守備で二塁走者をけん制で刺すなど強肩をアピール。さらに新潟の19歳、身長181センチの大型遊撃手・知野直人は9回に左翼席へ本塁打を放つなど、まさしく“俺を見てくれ”といわんばかりの熱いプレーが続出した。

 オリックス・内匠政博スカウトは今回の“見本市”を視察して「担当スカウトとしては本当にありがたい。候補に挙げている選手を球団の上層部の方々にも見てもらえるし、いいパフォーマンスをしてくれれば、それだけ印象にも残る。我々にも選手にもいい舞台ですよ」と大歓迎した。今回のBCL選抜の総監督を務め、信濃球団を運営する長野県民球団の三沢今朝治会長は、かつては日本ハムでスカウト部長、編成部長などを歴任した人物。「スカウトも一堂に集まってくれるし、担当でないスカウトも候補の選手が見られる。非常にいいやり方だと思いますよ」と評価した。

 もう一つの独立リーグである四国アイランドリーグplusも、今月8日から始まったフェニックスリーグに選抜チームを派遣する。宮崎での3週間ではNPB12球団のファームチームに韓国からの3チームも加わり、計16チームでのリーグ戦を行う。ここにドラフト候補の逸材が集まってくるのはBCLと同様で、こちらもドラフト前の最終アピールの場になる。

 今回のドラフトは甲子園で春夏連覇を達成した大阪桐蔭の二刀流・根尾昂、4番の外野手・藤原恭大、金足農のエース・吉田輝星ら、甲子園で活躍した高校生たちに大きな注目が集まる中、果たして、BCLの“見本市”から何人の選手が夢をつかむのか。そうした違った観点からドラフト会議を見るのも、また興味深いものがあるだろう。

●プロフィール
喜瀬雅則
1967年、神戸生まれの神戸育ち。関西学院大卒。サンケイスポーツ~産経新聞で野球担当22年。その間、阪神、近鉄、オリックス、中日ソフトバンク、アマ野球の担当を歴任。産経夕刊の連載「独立リーグの現状」で2011年度ミズノスポーツライター賞優秀賞受賞。2016年1月、独立L高知のユニークな球団戦略を描いた初著書「牛を飼う球団」(小学館)出版。産経新聞社退社後の2017年8月からフリーのスポーツライターとして野球取材をメーンに活動中。