そして、実際にそういうことが起きた時にも、相撲記者クラブの記者たちは、協会側についた報道をするかもしれない。それ以外の記者も取材するかもしれないが、やはり、クラブの記者たちの圧力で思ったような記事を書けない可能性も高い。

 戦いをやめた貴乃花親方だが、戦いは本人の意に反して続くのではないか。

 そう考えると、記者クラブ、とりわけ、相撲記者クラブの罪深さに憤りを感じてしまう。

 もちろん、問題の核心は、相撲協会の腐敗構造である。これまでも、八百長問題で国民の信頼を完全に失い、弟子の暴力死事件や横綱による傷害事件などの殺傷沙汰が続いたが、これらは単なる不祥事ではない、立派な犯罪行為だ。こうした問題を次々と起こしてきた角界を仕切ってきた日本相撲協会の責任は大きい。

 内閣府は、相撲協会の公益法人としての資格をはく奪すべきではないのか。外部の有識者を協会トップに据えて、根本から改革し、しかるべき成果を上げたところで再度公益法人認定を申請させる。あわせて、相撲記者クラブは解体し、フリーの記者たちにも取材を開放する。それくらいの荒療治をしないと、協会は永遠に問題を起こし続けるだろう。

著者プロフィールを見る
古賀茂明

古賀茂明

古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。近著は『分断と凋落の日本』(日刊現代)など

古賀茂明の記事一覧はこちら
暮らしとモノ班 for promotion
「プラレール」はなぜ人気なの?鉄道好きな子どもの定番おもちゃの魅力