このように、いかなる政権に対しても憲法を守らせるための統治機構改革のパッケージが「立憲的改憲」の核心ですから、ポジティブリストというような批判は的外れです。

■立憲民主が政権をとれば、安保法制は破棄される

──安倍政権以前の内閣は、(1)わが国に対する急迫不正の侵害があること、(2)(1)の場合、これを排除するために他に適当な手段がないこと、(3)必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと、と自衛権発動のための3要件(旧3要件)を定めていました。それを憲法に書き込むということですか。

 旧3要件は憲法に入れるべきです。旧3要件の考え方を憲法に入れることで、日本の自衛権を安保法制前までのラインに戻すことができます。世界では、集団的自衛権を名目にした侵略戦争が実際に起きています。その最大の主役と言える米国と軍事的一体化が進んでいる中で、むしろそこを断ち切ることが、日本の安全保障にとっても必要です。また、ただ「個別的自衛権」と書くと、15年の安保法制成立前の概念より広くなってしまう可能性があります。日本で許容してきた個別的自衛権の範囲は、国際法上の個別的自衛権よりも厳格に制限されていますから。したがって、「個別的自衛権」と書くのではなく旧3要件を書きこむべきですね。

──安倍内閣が閣議で自衛権発動の要件として新しく決定した「わが国と密接な関係にある他国に対する武力行使」などの新3要件は、立憲民主党が政権をとれば、見直されるのですか。

 私たちは、新3要件にもとづく自衛権発動は、立憲主義違反であり、かつ外交安保政策上も得策でない、という立場に立っていますから、当然見直すことになります。

──そうなると米国から強い反発が予想されますが、日米同盟はどうなりますか。

 政権をとるか否かにかわらず、まずは、日米地位協定の正常化からスタートすべきだと思います。戦後、一度も地位協定は改定されておらず、運用面での小手先の改善が精一杯です。こんな国はほとんどありません。

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石破氏の改憲論の方が議論できる