多様性の時代だという。プロデューサー・SKY-HIさんが人に接するときの信念は、現代を生きる社会人にとっても大いに参考になるはずだ。彼がプロデュースするダンス&ボーカルグループ、BE:FIRSTの公演前に密着した。AERA 2022年11月7日号「人を育てる」特集から。
* * *
BE:FIRSTの7人──SOTA、SHUNTO、MANATO、RYUHEI、JUNON、RYOKI、LEOが、少し緊張した面持ちでミーティングルームに入ってきた。
「おはよう」
SKY-HIは彼らの目をしっかり見て明るく言った。その一言で、メンバーの雰囲気が少しやわらかくなった。
BE:FIRSTは、ラッパーとしても活躍するSKY-HIが私財1億円を投じて開催したオーディション「THE FIRST」から誕生したダンス&ボーカルグループだ。昨年11月のデビューから快進撃を続けている。
10月2日、午後。彼らにとって初となる全国ツアー「“BE:1”2022-2023」の3公演目にあたるこの日の会場は、プロデューサーであるSKY-HIの地元、千葉県市川市文化会館大ホールだ。
■言うことに困ったら
SKY-HIがスマホで自身のスケジュールを確認しながら、つぶやいた。
「愛知公演、行きたいな。でも、行けなさそうだな。(愛知が地元の)SHUNTOのお父さんに会わなきゃ(笑)」
そう話しかけると、SHUNTOが笑顔になった。
リハーサル前のひととき、ミーティングの時間とはいえ、RYUHEIはものまねをしてメンバーを笑わせたり、RYOKIは座ったまま手の振りを真剣な表情で確認していたり、思い思いの時間を過ごしている。
SKY-HIは、MCについて話を振った。
「言うことに困ったら、会場に俺がいるから」
そして、気さくにJUNONに2ndシングル「Bye-Good-Bye」のボーカルアレンジを提案する。
「別にやらなくてもいいんだけど、しゃべり終わりだから、いつものJUNONの『♪だけど』を『だから』にアレンジしたら、ぐっとくるなと一瞬思ったんだよね」
「やってもいいですか?」とJUNONが前のめりに受けて、すぐに歌ってみせた。
「高いキーで母音が“だ”だから、出づらいこともあるよ」と冷静にアドバイス。