日本でも広がる「週休3日制」導入の効果は? モチベーションアップで生産性向上も

仕事

2022/04/06 17:00

AERA 2022年4月11日号より
AERA 2022年4月11日号より
「例えば、介護など個人の事情で退職を考えていた人も、この制度を活用することで働き続けられるかもしれません。それぞれの社員が事情に応じて生き生きと働ける一助になれば、と考えています」

 給与を下げずに「完全週休3日制」の導入を掲げるのが、主にファミリー層向けの戸建て住宅を手がける「建新」(社員120人、神奈川県横須賀市)。大口隆弘社長(48)は言う。

「建設の現場は今、本当に若手が少ないんです。業界中堅の私たちが給与水準を下げない週休3日制のモデルを確立すれば、若い人たちを業界に呼び戻す契機にもなると考えました」

 建設業界は工期を優先するため決まった休みが取りにくい。建新も週休2日制に移行したのは20年度。さらなる時短に取り組むきっかけは、大口さんが「いま何を大事に思っているか」と社員に尋ねたことだった。

「仕事の対価である収入増が一番だろうと思っていたら、家族とのプライベートの時間を大事にしたいという声が圧倒的に多かったんです」

 まず取り組んだのが残業時間の縮小だ。会議の短縮、図面や仕様書の一元管理などを行った。始業5分前に電源がオンになり、終業5分後にオフになる「PC強制シャットダウン制」なども採用。人事評価も、残業が少ないほど評価が高くなる制度に切り替えた。

 その結果、月の残業時間は1人平均約10時間減、1年で約25%減った。一方で20年度の営業利益は前年比2倍の4億1800万円になった。時短の効果を目の当たりにした大口さんが、次なる目標に据えたのが週休3日制。21年度は偶数月に1回の割合で週休3日にし、徐々に対象者を増やしていった。「段階的に導入拡大を図ったことが奏功しました」と大口さんは振り返る。

「トライアルを経験した社員から、『混雑を避けて平日に旅行できてよかった』など平日に休めるメリットを聞いたり、週休3日の恩恵を実感した社員ほど仕事で高いパフォーマンスを発揮したりしているのに接し、未経験の社員も前向きに捉えられたようです」

■時短と効率化で離職率減、入社希望者も急増した

 今年4月以降は全社員、毎月1回の週休3日制導入に踏み切る。30年度の完全導入に向け、カギを握るのは利益の確保と生産性の向上だ。大きな武器になるのがクラウド化だという。

「建設現場は段取りが7~8割と言われています。私たちのような分譲住宅も請け負う会社は一つの物件を手掛けるのに30~40社の協力会社が関わります。その工程管理をいかに効率よく回していくかが重要です」(大口さん)

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