ただし、お勧めは1食だけ。以前は「2食プロテイン置き換え」を提案することもあったが、反動で翌日にドカ食いする人が結構いるので勧めなくなった。プロテインの摂取のしすぎは肝臓に負担をかけるとされるので1食がいい。継続できる方法が一番だと考えている。

■プロテイン市場が拡大

 リクルートライフスタイルの「ホットペッパービューティーアカデミー」が行った女性約3万人を対象にした「ジム・フィットネスに関する意識・実態調査」によると、「コロナ太りしたと思う」と答えた人が43.1%に上った。また、運動不足やコロナ太りを改善しようという人の需要もあってか、「プロテイン」市場も急速に拡大。2020年は販売金額が前年比140.8%と伸長。月別では、緊急事態宣言解除後の6月以降、9月を除き前年比140%超で、今年3月に至っては209.3%(「インテージ」調べ)だった。

 そんな中、関心が高まっているのが「働きながらできるファスティング(断食)」だ。本来、ファスティングとは一定期間すべての食物を断つことだが、現在、国内外で広く行われているのは、12~24時間程度の空腹時間を一定の間隔で設けたり、プロテインやジュースなどを取り入れたりして1日の食事量を減らす方法だ。比較的トライしやすく、文字通り「働きながら」でもOKだ。先の吉岡さんの「置き換え」もファスティングの一種だ。

 津田塾大学教授の萱野稔人(かやのとしひと)さん(50)もファスティングを実践中。だが、羊羹(ようかん)を食べない日はない。自宅と研究室に大量に常備している。それでも体脂肪率は8%。腹筋は割れているらしい。この食生活を始めてから頭痛も減ったという。いったいどんな食生活なのか。

 萱野さんの1週間の食事と活動を見てみよう。例えば、4月1日はゆっくり起き、朝食は軽め。この日は原稿の締め切りで、一日中自宅で執筆。ランチは大好きな霜降り牛肉のステーキとじゃがバターで満腹に。糖質とカロリーがたっぷりだ。運動不足解消のために、立ってキーボードが打てる机を使用。立ちっぱなしで疲労がたまってきた午後4時半、おやつを食べ始めた。羊羹2切れと干し芋。おやつまでしっかり食べて心配になるが、この日の食事はここで打ち止め。夕食は食べない。

次のページ