きっちり家事分担しているからOKと思ったら、落とし穴が。相手の担当している家事のやり方が全くわからないと大変なことに(撮影/写真部・松永卓也)
きっちり家事分担しているからOKと思ったら、落とし穴が。相手の担当している家事のやり方が全くわからないと大変なことに(撮影/写真部・松永卓也)
突然倒れても困らない家事の備え(AERA 2019年11月18日号より)
突然倒れても困らない家事の備え(AERA 2019年11月18日号より)
突然倒れても困らない育児の備え(AERA 2019年11月18日号より)
突然倒れても困らない育児の備え(AERA 2019年11月18日号より)

 突然家族の誰かが倒れたり、寝込んだりしたら、一気に家庭が回らなくなる。家事・育児の担い手に偏りがある家庭は特に注意が必要だ。AERA 2019年11月18日号に掲載された記事を紹介する。

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「突然の入院のショックで落ち込んでいたところに、夫からのどうでもいいLINEがばんばん飛んできてスマホが手放せませんでした」

 と振り返るのは、都内の会社員の女性(40)だ。第2子の妊娠7カ月の妊婦健診で突然「そのまま入院」と主治医に言い渡された。切迫早産だった。

 とりあえず身の回りの物は持ってきてもらったが、そのあとも「保育園って何持っていけばいいの?」「連絡帳に何書けばいいの?」「持ち帰ってきた上履きってどうするの?」というLINEがひっきりなしに飛んでくる。

 家事は分担していたつもりだったが、子どもの身の回りのことは女性のほうが担っており、夫はほとんどやったことがなかったのだ。モノの収納場所も毎日使うものなら説明できるが、季節用品や使う頻度が少ないものは女性自身も記憶があやふやで、「たぶんあそこかな」「ないよ」「じゃああっちかも」といったあいまいなLINEのやりとりを何度繰り返したかわからない。夫婦の役割はきっちり分担せず、双方が把握できるようにしておくべきだったと悔やんだという。

 自分自身や家族に突然の病気や入院といったトラブルが起こった場合に、家庭が大混乱に陥るというのはよく聞かれることだ。家事シェア専門家で、NPO法人「tadaima!」代表理事の三木智有さんは、「夫婦どちらかに家事負担がかたよるワンオペ家庭や、子育て家庭で特にリスクが高い」と指摘する。

「たとえば、ほとんどの家事を担っている専業主婦世帯の妻になにかあると、夫は大変です。家のことはもちろんですが、残業が当たり前という人は仕事も調整しなければならず、負担は相当大きくなる」

 自分の身の回りのことだけならどうにかなるが、子どものことは特に難易度が高いという。

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