「幼稚園や学校関連のことは普段面倒を見ていない人にとっては未知の世界で、急な対応は難しい。しかもそんなときに限って、子どもが病気になったりするので、そうなると大パニックに陥ってしまいます」(三木さん)

 家事代行業の「ベアーズ」マーケティング部の服部祥子さんも、子育て世帯のリスクをこう指摘する。

「親のいずれかが病気や入院になると、子どもは精神的に大きなショックを受けます。そんな時だからこそ、外食続きとか家の中がめちゃめちゃという事態はなるべく避け、普段と変わらない状態を保ちたいものです」

 家事のほとんどを担っているのでパートナーに何かあっても大丈夫、と思い込んでいる人も油断は禁物だ。

「夫にできない家事はあっても自分にできない家事はない」と思っていたフリーライターの女性(45)は、夫が骨折で突然入院した際に思わぬ困りごとに遭遇したという。

「仕事場でもある自宅のWi‐Fiが急につながらなくなったんです。これまでは『Wi‐Fiがおかしい』と言えば夫が直してくれたので、こうしたトラブルに対処した経験がなく困りました」

 入院中の夫に連絡を取ると「ルーターを再起動してみて」と返事が来たが、どこにあるかわからない。場所を聞いても、似たような機器が複数あってどれがルーターかわからない。「ルーターってどれ?」「再起動ってどうするの?」と何度も写真とメッセージを送ったが、途中で夫が診察に入って連絡が取れなくなったこともあり、復旧までに半日以上かかった。家事は全部把握しているつもりだったが、デジタル環境の構築という思いもよらない「家事」を任せきりにしていたことを痛感したという。(ライター・森田悦子)

AERA 2019年11月18日号より抜粋