稲垣えみ子「台風19号襲来。誰かを思いやることがボランティアだと感じた」 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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稲垣えみ子「台風19号襲来。誰かを思いやることがボランティアだと感じた」

連載「アフロ画報」

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稲垣えみ子AERA#稲垣えみ子
稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。超節電生活。近著2冊『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)、『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)を刊行

稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。超節電生活。近著2冊『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)、『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)を刊行

端の始末もせずただただ並縫いで繋ぎ合わせたストール。買ってくださった方は神様です!(写真:本人提供)

端の始末もせずただただ並縫いで繋ぎ合わせたストール。買ってくださった方は神様です!(写真:本人提供)

 元朝日新聞記者でアフロヘア-がトレードマークの稲垣えみ子さんが「AERA」で連載する「アフロ画報」をお届けします。50歳を過ぎ、思い切って早期退職。新たな生活へと飛び出した日々に起こる出来事から、人とのふれあい、思い出などをつづります。

【稲垣さん手製のストールの写真はこちら】

*  *  *
 先の週末、仲良しのパン屋さん「ルヴァン」にて、我が手製のストールとエプロンの販売をした。捨てられるハギレを材料にヒマに任せて夜な夜なチクチク並縫いした迷品である。開催直前に台風19号が襲来し、そうだ売り上げは被災地へ送ろうと、お店のインスタで告知して頂いた。すると少なからぬ方が「ちょうど何かしたいと思っていたんです」と買って下さった。「釣りはいらねえよ」と言う方さえいた。お金を受け取る手が責任の重さに震えた。

 そうなのだ、みんな誰かのために何かしたいと思っている。本当は税金だってそのシステムの一つなんだが、税金を取られるのを皆嫌がるのは、どこにどう使われてるのかよくわからないからである。

 当初は一般的な義援金として振り込むつもりだったが、お店と繋がりのある被災リンゴ農家のシナノゴールド(落下して傷ついたやつ)が100円で売られていたのを見て、そうだ、この農家さんに送ろうと思いつく。義援金もいいが、誰にどう届いたのかわからないと送りっぱなしになる。具体的な誰かなら、お金を送った後もその人のことが気にかかる。それを「ご縁」というのであろう。何が正解かはわからないが、自分なりに納得のいくことがしたかった。

 それにしても、19号襲来から1週間経った今も被害の全容すら分からぬまま。そうこうしているうちに次の台風もやってくる。国に「何とかしろ」というのは簡単だが、ここまで災害が多いと官で何とかできるレベルを超えていると思わざるをえない。我ら個人が様々な縁をシナプスのように張り巡らせ、できる範囲で助け合うことなしには日本の未来はないであろう。

 例えば19号襲来の朝、我が地域は「資源ごみの日」だった。さすがにこんな日に回収は無理だろうと思ったら、なんと暴風雨のなか懸命の回収作業! 頭が下がる一方、これではいけないという気がした。こんな朝にゴミを出さないこともボランティアではなかろうか。誰かのことを思いやることがボランティア。我らの伸び代は大きい。

AERA 2019年11月4日号


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稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。超節電生活。近著2冊『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)、『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)を刊行

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