「一気飲みというところが重要です。胃に重力をかけて、大腸を押す。起きた直後は脱水になっていますから、自律神経的にはあまりよくない。水を飲むことで少しでも脱水を改善しましょう。腸に刺激を与えると腸が動き出します。起きた直後は食欲がなくても、水を飲んで腸に刺激がいくと交感神経が上がって、朝食もとることができるようになります」

 食事は腹8分目に抑えてしっかり3食とる、エスカレーターを使わずなるべく階段を使う、ぬるめのお風呂に15分浸かって血流をよくする、なども自律神経を整えるのに役立つそうだ。

「冷え性の人には便秘が多い。便秘で悩む人はシャワーではなく毎日湯船に浸かることが大切です」(小林医師)

 寒くなるこれからの季節、特に気をつけておきたい。

 このような生活習慣の改善に取り組んだあと、あなたは意気揚々とトイレへ向かうだろう。

 最後の味方になってくれるかもしれないユニーク&グローバルな腸トレ(?)商品もある。アメリカで2013年に発売されたスクワティポティーだ。洋式トイレで使う足置き台のようなもので、これを使うことで、和式トイレのようなウンチングスタイルになる。

 開発したのは、ロバート・エドワードさん(44)。母ジュディーさんが長年便秘で悩んでおり、ある日、医師から洋式トイレの前に小さい椅子を置いて足を置くとよいとアドバイスされた。実際にその姿勢をとるとスムーズに排便できるように。ロバートさんは、狭いトイレに毎回椅子を持ち込むのは大変と考え、洋式トイレの根元部分に収まるスクワティポティーを考案した。

 鍵は、恥骨直腸筋と直腸の位置関係だ。台の上に足を置くと、上半身と太ももの角度が狭まる。これによって恥骨直腸筋が緩み、直腸の位置が肛門に対して直線上になることで、力みのいらない排便が可能になる。

 日本でも15年に発売され、今では世界60カ国以上で35億円以上の販売実績があるという。

 専門家を訪ね、さまざまな腸トレ法を取材してきたが、人によって効果が出にくいものも、1日、1週間で効くものもあった。手を替え品を替え、自分の腸に効く方法を見つけてほしい。(編集部・小長光哲郎、高橋有紀)

AERA 2019年10月28日号

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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