まずはネコのポーズで、腸を正しい位置に戻す。特にデスクワークなどで日中座りっぱなしの人におすすめという。トラのポーズでは、腸トレに必要な筋肉を鍛える。腸腰筋を鍛えることで腸のぜん動運動を活性化し、腹筋を鍛えることで便を排泄する力も強くなる。最後のワニのポーズも、腰をひねることで腸のぜん動運動が活性化する。

 女性部員は「お通じがいつも以上にスムーズになり、500グラムですが体重も落ちた」とうれしそう。「運動嫌いで、普段ほとんど動かない」から効果もテキメンだったのかもしれない。

「腸を整える生活習慣を考えるうえで、切っても切れない関係にあるのが『自律神経』です」と語るのは、順天堂大学医学部教授・小林弘幸医師だ。

 まずは自律神経と腸の関係についておさらいを。

 自律神経とは体中にある末梢神経の一種で、血管の拡張・収縮や呼吸、腸のぜん動運動などをコントロールする重要な役割を果たしている。自律神経には二つあり、一つは、活発に動いているときや緊張しているときに働きが盛んになる「交感神経」。もう一つが、リラックスしているときや睡眠中に働きが盛んになる「副交感神経」。双方のバランスが取れていると、腸の動きが安定し消化吸収がスムーズになる。

「自律神経の状態がよくなると、腸が安定して血流がよくなるので、代謝が上がり、エネルギー効率がよくなります。腸内環境が悪いと『悪玉菌』が出す硫化水素やアンモニアなどの影響で、エネルギー源が細胞に行かずに脂肪細胞に流れ込んでしまう。だから腸内環境が悪いときは太り気味になってしまうんです」

 近年ではストレスが原因で自律神経のバランスが乱れ、心身の不調を訴える人も多い。

「頭痛、めまい、倦怠感、食欲不振などを訴えることも多いですが、それらは血流障害。自律神経の活動量が落ち、交感神経が上がることで、腸の働きが鈍り、血流が悪くなっているのです」(小林医師)

 副交感神経を上げるうえで、特に大切なのが朝の習慣だ。小林医師によれば、朝やるべきは、1杯の水を一気飲みすること、しっかり朝食をとること。

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