AERAでは、8月、アエラネットやSNSを通じて、共通テストについてアンケートを実施。教員や保護者、生徒など271人から回答を得た。英語の民間試験について尋ねたところ、9割が「不安」(93%)、「問題がある」(91%)と回答。実施については、「中止すべき」が7割、「延期」が2割。9割が「20年度の実施を見送るべき」という、驚くべき結果になった。

「4技能を評価することの意義や重要性は否定しない。しかし試験の絶対条件である公平性の確保が不可能である以上中止すべき」(49歳男性・大学教員)

「理念はいいが、手段が目的になっている」(40代女性・高校教員)

 回答者の多くは、英語の4技能向上を目指す改革の理念には賛同している。「延期」よりも「中止」を求める声が多いのは、制度設計自体に問題があり、延期して解決できるものでないと考えているからだ。

 これらの声を文科省はどう受け止めるのか。錦泰司・大学入試室長はAERAの取材にこう答えた。

「多くの不安の声があがっていることは重々承知しています」

 まず、散在している情報を整理し、一元化した英語民間試験専用サイトを8月中に立ち上げるという。サイトには各団体の試験日や会場は決まり次第加え、どのような採点体制をとるかも載せる。同時に、8月に全国の国公私立大と短大に、英語の民間試験の活用予定を学部学科、入学者選抜区分レベルまで調査。その結果を、未定分も含めて掲載する。

 さらに民間試験の実施詳細がある程度揃った段階で、高校への再度のニーズ調査も検討している。

「例えば試験のニーズがあるのに会場が十分にない場合は、事業者に働きかけできるだけ多くの会場が設けられるよう努める。不安払拭に向け努力することで、20年度実施の準備を進めたい」

 文科省はあくまで20年度実施を貫く姿勢だ。

 だが、多くの生徒は9月の英検予約申し込み開始を前に、すでに具体的な判断を迫られている。いま必要なのは情報のフレームではなく、実施詳細だ。

 高校2年の女子生徒は言う。

「なぜもっと細かく検討してから発表しなかったのか」

 冒頭の男子生徒もこう言った。

「もし共通テストが失敗したら、犠牲になるのは僕たち高校生です」

 声は届かないのか。試験実施まですでに8カ月を切った。抜本的な見直しのタイムリミットは、目の前に迫っている。(編集部・石田かおる)

AERA 2019年9月2日号