「攻撃も守備も相手の流れをつかむことが大切。これまでやってきたように、W杯でも試合を読むプレーができれば」

 同じポジションには11年の優勝メンバーで、4度目のW杯となるベテラン阪口夢穂(31、日テレ・ベレーザ)もいるが、右ひざの故障明けでどこまでプレーできるか未知数なだけに、杉田にかかる期待は小さくない。

 11年の優勝を知るのは阪口、主将の谷紗希(28、リヨン)ら5人。14年のU-17W杯を制した長谷川や杉田、昨年のU-20W杯優勝メンバーらを加えたチームはバランスが取れているようにも見える。しかし、8年前、4年前に比べれば、経験不足は否めない。

 世界ランキング7位のなでしこは、グループステージでアルゼンチン(10日、37位)、スコットランド(14日、20位)、イングランド(19日、3位)と対戦する。チーム最年長の鮫島彩(31、INAC神戸)は簡単な試合は一つもないとする。

「スコットランドは急速に力を付けているし、(3月に0-3と敗れた)イングランドは明らかに強い。ただ、厳しい戦いを粘り強くモノにしてきたのがなでしこ。振り返れば優勝した11年大会も準優勝した15年大会も、全部ギリギリの試合でした」

 新生なでしこジャパンにとって初の大舞台。かつてのような泥臭くも懸命な戦いで、再びブームを起こせるか。(スポーツライター・栗原正夫)

AERA 2019年6月17日号