「東京五輪後にはマンション価格が急落するのでは」といった報道も一部にあり、新築価格が下がるまで購入を待とうと考える人もいるだろう。だが、不動産コンサルタントの長嶋修さんは「日本では、五輪後の価格急落は考えづらい」と話す。

「近年の五輪開催国の景気動向をみると、開催後に景気が悪くなり不動産価格が下がったのは経済規模の小さな国ばかり。12年にロンドン五輪を開催した英国は、後に政府が『五輪が英国不動産市場に与える影響はなかった』と発表しています」

 新築の高値安定が続くなら、価格差の大きい中古マンションを狙うのは賢い選択だ。

 そこでアエラは、東京カンテイのデータを元に首都圏、中部圏、近畿圏の全駅について新築と中古の価格を集計した。70平米換算した新築物件の価格と、築10年の中古物件の現在価格を比較し、価格差が大きかった首都圏150駅、中部圏20駅、近畿圏30駅の計200駅を地図に示した。

 中古の築年数を10年としたのは、風呂、キッチン、宅配ボックスなど設備が新築と遜色ない物件が多く、リフォームせずに買ったらそのまま住めるという利点があること。売り手の心理としても「築10年前後」が一つの目安となっており、物件が市場に出回りやすいという面もある。

 オラガ総研代表取締役の牧野知弘さんはこう語る。

「施工が粗い物件は、水漏れや雨漏り、壁の破損などの不具合が数年後に必ず現れます。管理組合の議事録を見れば、どこをどう修理したかすぐにわかります。10年後も大きな不具合が出ていないマンションは、建物がしっかりしていると評価できます。また、10年で3割程度は住民の入れ替えがあるので、その物件にふさわしい住民層に落ち着いているという利点もあります」

地図に記したのは価格の「下落率」ではなく「価格差」なので、物件価格が高い駅は、金額が大きくなりやすい。価格差が大きいからといって、資産価値が落ちやすい駅ではないので、その点は留意したい。東京カンテイ上席主任研究員の井出武さんも「価格差だけでなく、個々の物件レベルも確認してほしい」と話す。

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