「赤羽や人形町など、10年前には進出していなかった大手ディベロッパーが再開発などで新築を手がけた駅もある。建物のグレードの差が価格に反映されていることもある。物件を手がけたディベロッパーや施工業者も比較して、価格の妥当性を判断してほしい」

 価格差が大きいトップ5は元町・中華街、品川、代々木公園、自由が丘、白金台。新築価格はいずれも1億円超で、2~4位は中古価格も6千万円超。だが、1位の元町・中華街だけは中古が3976万円と庶民にも手が届きそうだ。井出さんによると、元町・中華街周辺は飲食店や商店も多く好き嫌いが分かれる駅だったが、13年にみなとみらい線が東急東横線を介して東京メトロ副都心線に直通したことで、利便性が再評価された。新築価格にもそれが反映されていると推察する。

 6位の溝の口も同様に、駅前は洗練された住宅街というより雑多な雰囲気が漂っているが、渋谷駅まで13分、東急大井町線からの延伸という利便性が売りとなり、新築価格は強気に推移しているという。

 駅前の再開発によって新築価格が急上昇した結果、中古に割安感が出ている駅も多い。国分寺(-2663万円)、赤羽(-2604万円)、府中(-2464万円)、調布(-1784万円)、北千住(-1673万円)などが典型で、新築は6千万円を超えるが、中古になると4千万円前後に落ち着く。

「こうした駅では『新築プレミアム』に現在の駅力も加味されているので、開発前の中古価格は実態に近い価格になりやすくお得感が高い」(井出さん)

 郊外でも東京駅や大手町へのアクセスが評価されて新築価格が上がってきたのは、大船(-2439万円)や東神奈川(-2437万円)など。両駅ともに中古なら3千万~4千万円台なので、東京東部へ通勤する世帯にとっては狙い目と言える。

 ただマンションを資産と考えると、やはり将来いくらで転売できるかは気になる。そこで、首都圏、中部圏、近畿圏でリセールバリューが高い駅のランキングも掲載した。価格差と併せて、参考にしてほしい。(編集部・作田裕史)

※AERA 2018年10月22日号