行きたくなったら、焚き火台やテーブルなどを入れたザック一つを「ジムニー」に積み、目指すキャンプ場に向かう。ほかの客から死角となる場所にテントを張ると、あとは何も考えずに過ごす。ネタを考えるとストレスになるので、仕事のことは頭から切り離している。そして、空腹を覚えたらご飯を食べ、眠たくなったら寝る──。

1人ぼっちでキャンプをする姿は、周りから見れば孤独で寂しそうに見えるかもしれないが、

「これほど豊かな時間をくれるものはありません」

普段は芸能プロダクションを経営しているので、想像を絶するストレスがたまる。だが、ソロキャンプをしている間は一時でもそれを忘れることができる。ワクワクしてくるのだという。

4、5年前からソロキャンプの様子をYouTube「ヒロシちゃんねる」にアップしているが、再生回数は1500万回を超え、登録者数は15万人にもなった。最近はソロキャンプに関する取材も増え、自分と同じように孤独が好きな人が少なくないことも実感している。

「孤独は、ポジティブな生き方です」

と、つぶやいた。(文中敬称略)(編集部・野村昌二)

AERA 2018年9月3日号より抜粋

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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