AI対抗の切り札は“読解力” IT企業で「国語研修」も (1/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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AI対抗の切り札は“読解力” IT企業で「国語研修」も

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市岡ひかりAERA#働き方

速読研修では、文章を文節ごとのかたまりで把握し、すばやく読むトレーニングをしている(撮影/編集部・市岡ひかり)

速読研修では、文章を文節ごとのかたまりで把握し、すばやく読むトレーニングをしている(撮影/編集部・市岡ひかり)

エキサイトで実施されている、自分の大事にしたい価値観が書かれたカードを選び、発表する「価値観探し研修」。考え方の違いを知り、コミュニケーションに役立てる(撮影/編集部・市岡ひかり)

エキサイトで実施されている、自分の大事にしたい価値観が書かれたカードを選び、発表する「価値観探し研修」。考え方の違いを知り、コミュニケーションに役立てる(撮影/編集部・市岡ひかり)

カードは100種類以上。エンジニアは「計画性」「完璧」、総合職は「成長」など、職種によっても選ぶカードに傾向があるという(撮影/編集部・市岡ひかり)

カードは100種類以上。エンジニアは「計画性」「完璧」、総合職は「成長」など、職種によっても選ぶカードに傾向があるという(撮影/編集部・市岡ひかり)

「若手社員と話が通じない」「お客様が分かってくれない」なんてもう言っていられない。AI社会で生き残るため企業も社員の読解力向上に動き出した。

【写真】新人研修の一環として取り入れられた「価値観探しゲーム」

*  *  *
「サイトにつながらない」「コインが入らないんだけど」──。
ポイントサイトやオンラインゲームなど約10種類のウェブサービスを展開するGMOメディア(東京都渋谷区)のカスタマーサポート(CS)部門には、1日300件近い問い合わせメールが寄せられる。利用者は中高生から高齢者まで。文面も内容も多様なメールに、常時10人ほどで対応している。スタッフのほとんどは20代のアルバイトだ。時には電話で対応することもあるが、メールによる問い合わせが9割以上を占める。サイトがつながりにくくなるなど、トラブルが起きるとぐっと問い合わせ量が増え、迅速な対応が求められることも。CS推進室マネージャーの谷村聡一さんは言う。

「メールではなかなかお客様の感情が読み取れず、冷静な文面で書かれていても実はものすごくお怒りなこともあるし、その逆もあります。相手の年齢層によっても、丁寧な言葉遣いが必要だったり、かえって柔らかい受け答えのほうが良かったり……試行錯誤の日々です」

 谷村さんがアルバイトからCS部門に加わった当時、マニュアルに沿ってテンプレートを用いて返答することも少なくなかった。しかし、企業の成長に伴い、サービスの種類が増え、利用者も拡大。利用者側も目が肥えたのか、テンプレートでの四角四面な対応を嫌い、より個別の事情に寄り添い、文面にも血の通った対応を求めるようになってきた。

 ただ、相手の事情や感情をくみ取った上で返信するには、それだけ丁寧な読み込みが必要だ。時間もかかる。より効率よく、正しく読む力を身につけ、返信の質を高められないか。そこで2016年から読解力や文章力を鍛える研修を開始。まず取り組んだのが、「速読研修」だ。

 日本速脳速読協会のアドバイスも受け、画面上に数秒表示される文字を認識し視覚を鍛えたり、文章を文節ごとにかたまりで認識し、すばやく捉えたりといったトレーニングを実施。始めた当初は1分間の読み取り量が1325文字程度だったのが、半年後には1423文字にまで伸びた。

「やればやるだけ成績は伸びました。ただ、当初は新聞記事のみを教材に使っていたのですが、徐々に飽きてしまう人も出てきて……。物語など教材の種類も工夫するようにしていました」(谷村さん)


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