羽生結弦ソチのがむしゃらさとは違う金メダルの意味 (2/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

羽生結弦ソチのがむしゃらさとは違う金メダルの意味

このエントリーをはてなブックマークに追加
江陵アイスアリーナでFSの演技後に行われたセレモニー。表彰台の一番高いところに、勢いよく跳び乗った。SP1位(111.68)、FS2位(206.17)、総合1位(317.85)(写真:JMPA)

江陵アイスアリーナでFSの演技後に行われたセレモニー。表彰台の一番高いところに、勢いよく跳び乗った。SP1位(111.68)、FS2位(206.17)、総合1位(317.85)(写真:JMPA)

平昌五輪を戦い終えた羽生は「自分に勝ったと思った」と語った。いま、この瞬間も、自分自身と戦っているのか(写真:JMPA)

平昌五輪を戦い終えた羽生は「自分に勝ったと思った」と語った。いま、この瞬間も、自分自身と戦っているのか(写真:JMPA)

 この一戦で、流れが変わる。絶対王者の自信をもっていたチャンの心に小さな不安が生まれた。羽生の心には、闘志がとめどなくあふれでた。その流れのままソチ五輪が開幕し、ショートプログラム(SP)は羽生がパーフェクトで首位、チャンが一つミスをして3.93点差の2位。フリー(FS)で双方にミスがあり、羽生が優勝した。

 チャンだけに狙いを定めてプレッシャーをかけた、パワフルな金メダルだった。

 それから4年。男子のフィギュアスケートは、予想だにしなかったハイレベルな4回転時代に突入する。羽生は言う。

「4回転ルッツの扉を開いたのは金博洋(ジンボーヤン)だし、ジャンプの限界を超えようと思ってみんなが彼を追いかけて強くなって、ネーサン・チェンや宇野昌磨(しょうま)君が出てきました。僕が4回転ループを跳ばなきゃと火がついたのは、ハビエルが完成度の高い素晴らしい演技をするようになったから。そして日本でもうかうかしていられないなと思ったのが宇野君の存在。たくさんの選手の演技が僕を鼓舞してくれた」

 ソチ五輪での羽生の4回転は「SPで1本、FSで2本」。15年NHK杯で「SPで2本、FSで3本」の4回転を導入し、パーフェクトの演技で総合300点超えを果たすと、16年9月のオータム・クラシックで4回転ループを、17年10月のロシア杯で4回転ルッツを跳んでみせた。躍進の最大の要因は羽生自身の努力だが、同じブライアン・オーサー門下のチームメート、ハビエル・フェルナンデス(26)の存在も大きかった。

「僕が悪いときに彼がパーフェクトの演技をする。すると僕も焦って、一生懸命頑張らなきゃと思う。逆に彼が悪いときに僕が好調で、ハビエルが感情的になっているのを見かけることもありました。そうやって感情的にならないと、厳しい練習なんてできません。だからハビエルには感謝しきりです」

(ライター・野口美恵)

AERA 2018年3月5日号より抜粋


トップにもどる AERA記事一覧

関連記事関連記事

このエントリーをはてなブックマークに追加
あわせて読みたい あわせて読みたい