製菓コースの生徒が作ったスイーツを「まごの店」ブランドで販売するなど、商品開発にも積極的。16年の伊勢志摩サミットでは、首脳夫人たちの昼食の調理を生徒たちが任され、食のプロを育てる高校として有名だ。SPHに指定された今年度からは、海外でのインターンシップも計画している。

 もうひとつ、本年度スタートした文科省の「つながる食育推進事業」も、昨年度まで実施されていた「スーパー食育スクール」(SSS)が前身だ。SSSは「学校における食育を推進するため、各種外部機関と連携し、食育プログラムを開発」する小中高校を指定していた事業。残念ながら「スーパー」の文字は消えたが、指定された学校にはさまざまな恩恵を残した。

「指定されたことで、以前からの食育の取り組みが注目され、今も全国から見学に来てくださる学校が少なくないんですよ」

 スーパー食育スクール事業の指定を受けていた名古屋市の椙山(すぎやま)女学園高校、岡田七重教諭はそう話す。

「保育園から大学院まで」の一貫校であることを生かし、食育基本法が成立した00年代半ばから、外部講師を招いた講座などで食育を進めてきた。「和食」をテーマにSSSに認定された昨年はその取り組みを強化。名古屋市中央卸売市場北部市場の専門家を招いた調理特別実習や、企業の専門家による「だし」の特別授業などを実施した。

 現在、同校の家庭科教諭を務める安田早希さんは卒業生。

「旬のものがおいしいことなど、家で普通に食事をしていたらわからないことも多く、発見もたくさんありました。今度は私から、今の生徒に伝えていきたいです」

(ライター・福光恵)

AERA 2017年11月6日号