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憲法改正に自衛隊を利用するな 防衛省内には戸惑いの声も

藤田直央,渡辺豪AERA#2017解散総選挙
栄誉礼・儀仗で巡閲する安倍晋三首相と小野寺五典防衛大臣/9月11日、防衛省で(c)朝日新聞社

栄誉礼・儀仗で巡閲する安倍晋三首相と小野寺五典防衛大臣/9月11日、防衛省で(c)朝日新聞社

 ただ、自衛隊への期待の高まりを改憲に利用するような手法には、防衛省内にも戸惑う声がある。元航空自衛隊幹部(空将補)の林吉永氏は語気を強める。

「自衛官にとって今、最重要なのは軍人としての身分を法的に保障してもらうことなんです」

 2015年成立の安全保障関連法で盛り込まれた「駆けつけ警護」。自衛隊は海外で武器を手に警護対象を守ることになり、16年11月、南スーダン派遣部隊に初めて付与された。部隊は「駆けつけ警護」しないまま今年5月に撤収したが、いつ戦闘に巻き込まれてもおかしくなかった。

 林氏によれば、国連平和維持活動派遣部隊が現地で一般市民を殺害した場合、国際的には自国の軍事法廷で裁かれるのが通例だが、軍人ではない自衛官は刑事事件の被告人として裁かれる。そもそも「戦死」は法律上存在せず、「殉職」の範疇(はんちゅう)に入れ込むとしても不明確である。

■「9条も自衛隊も尊い」

 自民党は、今年5月3日の憲法記念日に首相が示した「9条1、2項を維持したまま自衛隊を明記する」という案を受け、「自衛隊の明記」を公約とした。一方で「1、2項維持」については盛り込まれなかった。自民党内には、2項の「戦力の不保持」を削除して「国防軍を保持」するという12年の党改憲草案にこだわる声が根強いためだ。林氏はこの経緯に不信感を抱く。

「安倍首相の目的は改憲そのもの。9条に『自衛隊』が明記されることで目的完遂となり、自衛隊員が『軍人』として法的身分を保障される道は、むしろ遠のくのではないでしょうか」

 法政大学の杉田敦教授(政治学)は「あいまいさ」を問題視。

「自民党公約は、安倍首相個人の案と党の草案どちらを問おうとしているのか判然としません。今回の選挙で、少なくとも9条に関して何らかの民意が出たと捉えるのは無理があります」

 立憲民主党や共産党などは、集団的自衛権の行使容認を盛り込む安保法制は「違憲」としている。「これは9条改憲の是非を論じる前段の課題」だと杉田教授も同調するが、今回の選挙後、「護憲派」の声がどれだけ国政に反映されるかは未知数だ。


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