「こんな所にいたくない」フィリピン青少年鑑別所の過酷な実態 (1/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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「こんな所にいたくない」フィリピン青少年鑑別所の過酷な実態

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男子部屋から女子部屋を撮影した写真。部屋は男女別だが視線を遮るものはなく、プライバシーが保護されているとは言いがたい(撮影/フォトグラファー・清水匡)

男子部屋から女子部屋を撮影した写真。部屋は男女別だが視線を遮るものはなく、プライバシーが保護されているとは言いがたい(撮影/フォトグラファー・清水匡)

 フィリピンのマニラ首都圏にある青少年鑑別所。罪を犯した15歳以上の未成年者を一時収容する施設だが、同時に、補導されたり犯罪の被害を受けたりした子どもたちを保護している。訪ねてみると……。フォトグラファー・清水匡氏がレポートする。

*  *  *
 ドームと呼ばれる10畳ほどの三つの部屋に、未成年の子どもたちが73人。壁に書かれた無数の名前がここを出入りした子どもたちの数を物語っている。

 8月末、フィリピンのマニラ首都圏にある青少年鑑別所を訪ねた。罪を犯した子どもたちの収容だけではなく、夜遅く出歩いていたなどの理由で補導された子どもたちを保護する役割も果たす。拘置所や刑務所ではないので鉄格子こそないが、部屋は網状の鉄柵で仕切られ、窓のほとんどは板でふさがれていた。

 各部屋にはマットとゴザが数枚敷かれているだけで、多くの子どもたちはコンクリートの床にじかに横になっている。トイレは各部屋にたった1カ所。体を洗うスペースと併用で、男女が混在しているのに扉もない。

 肌が汚れていたり傷があったり、ストリートチルドレンだったことをうかがわせる子どもたちの中に、肌も洋服もきれいな少女(14)がいたので、なぜここに来たのか、と声をかけた。

 友だちの家で誕生パーティーを楽しんでいるうち夜になってしまった。泊まっていくように勧められたが、自宅に帰ろうと友人宅を出た。一人で道を歩いていたところ、警官に「夜10時以降に未成年が一人で出歩いてはいけない」と声をかけられ、そのままこの鑑別所に連れてこられたのだという。

 翌日、親に連絡してほしいと職員に伝えたが、親の携帯番号を覚えていなかったため、結局、会えたのは2週間以上も後のことだ。ここを出るにはソーシャルワーカーによる指導プログラムを受けなければならず、あと数週間は収容され続けるという。

 見るからに路上生活をしていただろうという少女(13)とも話した。幼い時に父親を亡くし、以後生活が苦しくなった。10歳の頃、母は別の男と親しくなって、一緒に生活するようになった。しばらくして弟が生まれるとその男は少女に暴力を振るいはじめ、酒に酔うと母の目を盗んで少女の体を触った。


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