5月31日、同社のサウナ&スパ部の活動に本誌女性記者(33)も同行した。向かったのは横浜にある「スカイスパYOKOHAMA」。眼下に横浜の夜景を見ながら楽しめるのが売りのようだ。女性部員の日向野(ひがの)奈津子さんの案内で、いざサウナへ!

 14階からの眺めに癒やされながら、ジトッと汗が噴き出してくる。ただ、室温75度のなかに長時間いるのはつ、つらい……。

 10分ほど経過すると、日向野さんはサウナを出て汗を流し、水風呂に一気に肩まで浸かった。この日の水温は17度。思わず躊躇した記者だが、サウナの魅力は水風呂。むしろ、「水風呂に入るために、サウナに入る」(高須CSO)という。

 それは、今回取材したすべてのサウナ部の部員たちが口を揃えたところだ。日向野さんは、

「私も最初は水風呂が苦手でしたが、慣れるとハマります。今は週に2回ほどサウナへ通っています。むくみが取れて、冷え症も改善しました」

 サウナー界では水温は低ければ低いほど評価されるようで、9度以下の水風呂を「シングル」(サウナー用語その5)と呼ぶことも教えられた。

 サウナで「ととのった」(サウナー用語7参照)後は、施設内のレストランで乾杯。渇いたのどに流れ込むビールは格別だ。部員の小澤ひろこさんに仕事への影響を聞くと、

「私の部署では、製品などのモノではなく、専門性を売っている。最終的に重要になるのが、人間関係。知識や経験のある人と社内でつながるのは限界がある。その点、サウナ&スパ部での交流は、面識のなかった人にも仕事の相談がしやすいです」

 宴会後は自由解散となるが、全員がまたサウナに戻っていった……。「飲み食いしたものをプラマイゼロにする」のだとか。同社はこうした活動を、月1回程度のペースで行う。7月は週末を利用して初の静岡遠征を実施する予定だ。

●サウナ中も「学び」あり

 コクヨエンジニアリング&テクノロジーにもサウナ部がある。活動は月2回程度で、部員は28人。同社サウナ部代表の川田直樹さん(32)は、仕事へのプラスの影響をこう話す。

「仕事上の不安を持っていても、普通は直属の上司に相談するしかない。しかし、サウナ部には新人から中堅クラスまで、様々な部署から人が集まっている。世代や部署を超えて、業務上の悩みなどを共有でき、アドバイスもできます」

 また、同社ならではの「学び」もあるようだ。

「オフィス空間を作るのが我々の仕事ですが、サウナの施設にもヒントはあります。自然と素材などに目が行き、みんな壁とかをずっと触っています(笑)。建築士の資格試験にも、温浴施設に関する出題があるんです。会社自体も資格者を出したいという考えもあり、サウナを楽しむだけでなく、勉強にもなっています」(川田さん)

 健康効果も、仕事にプラスの影響をもたらしている。結婚式場の口コミサイトを運営する「みんなのウェディング」サウナ部代表の瀬尾圭太さん(34)は、「業績に悩んでいる社員はサウナに行き、前向きになってほしい」と話す。

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