女性の場合、自宅近くに無認可の保育園が新設され、運よく入園させることができた。生後3カ月の首がすわるかすわらないかのうちに子どもを預けて復帰することには抵抗があったが、「認可外加点がつく」「認可外施設に預けている期間が長いほど優先される」と自分に言い聞かせて、復帰に踏み切った。

 しかし、16年秋にいざ認可保育園に申し込もうとすると、17年度入園の申し込みから、「育児休業加点」が新設されることを知らされたのだ。

 育児休業加点とはどんなものか。江東区こども未来部保育課入園係に問い合わせると、

「本当は育休をしっかり取りたいのに、入園を有利にするためだけに早く切り上げて認可外加点を得ようとする保護者が増えました。そのため、育休をしっかり取りたい人も、切り上げて復帰する必要がある人も同点になるように、加点基準と優先基準を見直しました」(担当者)

 とはいえ、いきなり認可外加点と育児休業加点が共存となると、この女性のように無理に育休を切り上げた世帯から悲鳴が上がるのは必至だ。江東区では周知期間を設け、17年度は2歳児クラス以降の申し込みに対し育児休業加点を適用、18年度以降は1歳児クラスでも同様に適用し、育休を切り上げて認可外施設に預けた場合と、入園ぎりぎりまで育休を取った場合が同点になるようにしている。

 つまり、17年度なら0歳児クラス、18年度なら1歳児クラスに入ることになる女性の子どもの場合、認可外加点が有利に働くのは今年だけだ。4月の入園を逃すわけにはいかない。

●きょうだい加点見直し

 多くの自治体で設定されている「きょうだい加点」も揺れている。こちらは、上の子が認可保育園に在園中に下の子も入園を希望するとつくポイント。複数の子どもがいる場合、きょうだいが別園だと親の負担が重くなる。もともとは、それを同園にするために設定されているのだが、「第1子が入園しにくくなる」という指摘があった。

 第2子以降が保育園に入りやすければ、認可保育園に入れた人は安心して第2子以降を産める。だが、認可保育園に入れなかった人は壮絶な保活を二度と繰り返したくないと第2子をあきらめる。そんな格差が生まれる可能性がある。新規園に集まるのはほとんどが第1子という状況も決して珍しくはない。

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