また、同紙のジェイムズ・シャープ氏も、こう続ける。

「先発の機会は減ったが、だからこそ彼の不在を感じるときは少なくない。FWである以上もう少しゴールは欲しいし、競り合いの強さも足りないかもしれない。だが、常にチームのためを考えた献身的なプレーには頭が下がるし、笑顔を絶やさずピッチを全力で走る彼の姿を多くのファンが楽しみにしている」

 岡崎の献身性や、ピッチ内外で見せる人懐っこい笑顔は、むしろ海外に出てこそ際立つのかもしれない。

●人生を分けるゴール

 そして何より、厳しい立場に立たされても、岡崎は下を向くことなく、これまでの経験を糧に、我が道を突き進んでいる。

「監督が(自分の起用に関して)どう考えているかは正直どうでもいい。悔しさもあるが、試合に出られなくて悔しいと思い過ぎてもシンドイし、いまは試合に出られればやれるって開き直るようにしています。ただ、5分使ってもらって楽しかった。この5分をどう10分、15分に変えていくか方法を考えていきたい。自分には周りと比べてヘタだという気持ちがあるから、変なプライドもないし、自分が出るためにチームの不調を願うのも嫌。絶対にチャンスはあるし、必要とされるときが来ると信じてやっていきたい」(岡崎)

 そんな願いが通じてか、コペンハーゲン戦から4日後の10月22日のクリスタルパレス戦で、岡崎はスリマニとのコンビで公式戦では6試合ぶり、プレミアリーグでは5試合ぶりに先発。今季リーグ戦初ゴールを挙げ、チームも3-1で勝利した。

「自分の人生を分けるようなゴールだった気がします」

 試合後はそう言って安堵(あんど)した。岡崎のゴールは現状を打破する転機となるか。それはW杯アジア最終予選で現在、“出場圏外”のグループ3位と苦戦中の日本代表にとっても気になる問題である。(スポーツジャーナリスト・栗原正夫)

AERA 2016年11月7日号