東京都は7月、今年4月の都内の待機児童の状況を発表した。待機児童数は8466人で、昨年より652人増えた。夫婦ともにフルタイム勤務でも預けられる保証はなく、選考の指数争いで、いかに頭ひとつ抜けるかを考えなければならない。その結果起きているのが、保活の早期化だ。

 家事代行サービス会社「CaSy」で広報を務める城後(じょうご)幸代さん(34)は、保活のために帝王切開での出産を1カ月早めた。

 住んでいる渋谷区でも、0歳児より1歳児のほうが入園が決まりにくい。加えて、下の子だけでなく、上の子も認証から認可に転園させる必要があった。

「来年度、1歳児と4歳児での『ダブル保活』がカオスになることは見えている。姉弟を同じ園に通わせるためには、下の子が0歳児のタイミングで預けるしかない」

●生後2カ月で確実に

 第2子は帝王切開で14年2月末の出産予定だった。だがそれでは4月時点で生後57日に満たないため、0歳児で入園を申し込むことができない。

「早く産まないと職場復帰できなくなるかもしれません」

 と医師に訴え、1カ月前の出産にしぶしぶ同意してもらった。出産予定日の証明書を添えて、区に入園を申請。姉弟同時に同じ園に預けることができた。

 生後2カ月の赤ちゃんを預けることに、不安がなかったわけではない。だが、4月に認可に預けられなければ、数カ月後に受け入れてくれる認可外を探し、そこに預けた後で認可に挑戦することになる。城後さんは確実に認可に預ける方法を選んだ。

 保育園を考える親の会の「100都市保育力充実度チェック」の15年度版によると、東京、千葉、埼玉、神奈川の主要都市と政令指定都市のうち、4分の3の74市区で、0歳児より1歳児のほうが入園しづらかった。一般的に「育休明け」とされる1歳児の入園は依然として厳しい。そのため育休を切り上げて0歳児から預けるのが保活の「必勝法」となっているのだが、早生まれだと保活に出遅れるうえ、城後さんのように申し込みすらできない場合も多い。

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